プライシングの専門家が説明する、年間パスポートは1日入場料金何回分に設定すると売上が最大化するのか
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1.はじめに
東京ディズニーランド、皆さん好きですか?TDLはもう夢の国ですからね。女性はもちろん、男性でも大好きな方が多いでしょう。
かくいうわたしも、子供ができてからは好きになりました。数年に一度は訪れます。USJの方が好きですね。年間パス(以降、年間パス)を買いたいといつも思います。
2.年間パス導入の売上の最大化
考えてみたら、年間パスってあちこちの施設にありますよね?大好きな場所で、年間何回も訪れたいと思う場所ならば年間パスを買ったが方お得だな、と思いますよね。
お客さんである消費者側からすると、「ここは好きだけど、何回行くのかなー?」って考えて、この回数行くのなら年間パスのほうが得だ、或いはこれなら毎回支払った方が得、といった考えをしますよね?
割と単純です。だいたい何回行くかを想像するだけです。
でもこれ、年間パスを発行している施設側から見ると、すごく難しい話になると思いませんか?
年間パスを入場料金の何回分に設定するべきか、何をもとに判断したらよいのか想像つかないですよね?4回がいいのか、5回がいいのか、それとも6回がいいのか。
そもそも年間パスは合ったほうが良いのか、それとも無いほうが良いのかという疑問すら生じます。
もちろんお客様は大切なので「なるべく多くの回数来てほしい」は当たり前です。そういった感情の話ではありません。
ここでの最終的な判断基準は、「売上を最大化する」です。
どこに価格を設定したら売上が最大になるのか?これを考えなくてはいけません。
しかもなんとなく決めるのではなく、定量的に考えたい所です。
しっかりと手を使って計算して、そして「考える」ことが大切です。
「データを集める、加工する、可視化する、考える」
をしっかり行いましょう。
3.対象、価格等
対象としては、
東京ディズニーランド(以降TDL)
ユニバーサルスタジオジャパン(以降USJ)
江ノ島博物館
新横浜にあるラーメン博物館
の4つで行いました。なんでラーメン博物館?と思われるかも知れませんが、実は今回の主題の一つなのです。後ほど説明します。
また、売上を考える上では、入場料とは別に園内の消費者が払うコストも考えなくてはいけませんね。今回は入場料、園内の費用を以下のように設定しました。
TDL:
入場料9000円、園内での費用5000円
USJ:
入場料8500円、園内での費用5000円
江ノ島水族館:
入場料2500円、園内での費用2000円
ラーメン博物館:
入場料380円、園内での費用2000円
また、年間パスは、それぞれ以下のようになっています。
TDL:
68000円、約入場7.5回分
USJ:
37800円、約入場4.4回分
江ノ島水族館:
5000円、入場2回分
ラーメン博物館:
800円、約入場2.1回分。但し特定の条件を満たせば無料。
4.計算
さて、売上のための計算ですが、この計算、めんどくさいです。
売上は、
{一人あたり年間払う費用}
を全入場者数足し合わせたものになりますよね?
この一人あたり年間払う費用が、くせものなんです。
これ、一人に着目しても、年間パスを入場何回分にするかによって、年間の入園回数が変わってくるんです。
例として年間パスを入場2回分にしたときと3回分にした時で考えてみますね。
ある人がいたとして、2回分なら購入し、3回分だったら購入しないとします。3回分では購入しないので、その年には1回か2回か3回しか入園しないでしょう。でも、2回分だったら払いたいと思い、年間パスを購入します。この場合には、この人は5回、6回といくことになり、そのたびに園内で食事やお土産を買って支払うことになるのです。なので、年間パスが入場何回分かごとに、年間に支払う費用が変わってくるため、入園回数を考えなくてはいけません。
実際計算のシートは1つの施設だけでこんな事になってしまいました。
5.結果
結果です。「前提」、「より詳細な計算方法」、「結果の考察」などは後半に書いておきましたので、興味のある方は読んでくださいね。
結果のために行った計算ですが、相応にめんどくさい計算でしたが、わたし頑張って行いました。誰かほめて下さい笑
さて、冗談はさておき、それぞれの施設で、どのような結果になったのでしょうか?
わくわくしますねー!!まずは、TDLから。グラフは一番左が、年間パスが無い場合、そこから右に年間パスが1日入場料金の2回分、3回分・・・、と続いてゆきます。
え!!!!???
ほ、ほとんど変わらない!!!
びっくりですね。ではUSJは?
あれ??こ、これも!!!???
では、江ノ島水族館は?
こ、これも!!!????
なんともびっくりするのですが、入場何回分にしても、殆ど売上は変わらないんですね。
逆に、もし、これをお読みになっている方で、何らかの施設を運営されていて、年間パスの導入を検討されている方は、果たして入場何回分に設定したら良いんだろう?と考えあぐねいていることでしょう。
この結果が物語っている通り、
別に何回分でも売上はあまり変わらない
ということですね。年間パス導入を御検討の会社さんは、是非御参考頂ければ幸いです。
数値の面ではこういう結果になったので、むしろ数値の面ではなく、「固定ファンを作る」という、顧客の感情的な側面で、年間パスを位置づけておいた方が良いのでしょう。
では最後に、ラーメン博物館は?
わたしはラーメン博物館に、時々お邪魔しております。大好きです。ここの年間パスの仕組みは変わっていて、年間3回行くと、無料の年間パスが1年更新されます。年3回行く限り、年間パスは永遠に無料ということです。つまり、年3回行く限り、入場料金は永遠に無料ということです。素晴らしいですね。この場合のグラフはどうなっているのでしょう。左から順に年間パス無し、「0」は、3回行って年間パス無料、後は1日入場2回分、3回分・・・、と続きます。
む!おおおお!!!!これは!!!
0は少なく、2が多いですね。
つまり「年間パスは無料にするよりも、入場料金2回分にした方が売上は上がる」
ということですね。
なので、ラーメン博物館さん!
これをみたら、今一度検討してみて下さい!
年間パスのプライシングミスってますよ!
変えた方がいいですよ!
で、でも、(ラーメン博物館が大好きなわたしが悲しくなるので)変えないで下さいっ!
6.最後に
「年間パスは1日入場料金何回分が最も売上があがるのか?」という、アプローチの仕方が想像できないようなものに対して「考える」ことで、進めてみました。
通常であれば、この「最後に」の後、林の紹介があり、記事の終わりになるのですが、今回はその次の章にて、前提、計算途中のプロセス、結果の考察について説明しています。興味があるという方だけお読み頂けたらと思います。
でも、年間パスポートは、どの様に設定しても売上があまり変わらないということだけわかっていれば経営上は問題ないので、読んで頂かなくても全く問題ありません。
すみません。サイトのお引越しの際に、前提、計算途中のプロセス、結果の考察について説明した部分をコピーするのを失念してしまい、消失してしまいました。DX顧問サービスではプライシング支援も行っておりますので、本件含めてプライシングについて何かあれば、お問い合わせ下さい。