日本人の経済格差が広がったなんてデマだった!

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こんにちは、DX顧問サービスをやっていますヴィクセス 林です。今回は日本の格差について見てみたいと思います。

日本の格差は広がっている、とよく言われていて、こちらの読売新聞の記事をみると、多くの方が経済格差を深刻だと捉えています。

経済格差とは具体的には貧富の差だと理解しても良いでしょう。

昔は一億総中流社会と言われた時代もあったので、貧富の差が拡大した日本が本当に来たなんて思うと、なんとなく悲しくなります。

でも、どんなことでも、「本当にそうなのか?」と疑ってみることは大切。感覚でものを話すのは、情報弱者の極み。データを見てものを語ったほうが良いはず。なので、本当に日本人の経済格差(=貧富の差)が広がってきているのか、見てみることにします。


貧富の差の実際

こちらは厚生労働省が作成した図で、貧富の差の大きさを数値化したものです。1990年から2017年まで3年ごとにデータが作られていて、まずは青い棒から見て下さい。青い棒が、実際日本人の手元に入ってくる金額をベースにした貧富の差です。値が大きければ貧富の差が大きく、小さければ貧富の差は小さいことを表します。これを見ると・・・・

出典: 厚生労働省 URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-09.html

1990年ごろから殆ど変わっていない!!!!

ということは、貧富の差は拡大していないってことです!!!日本人が感じる、貧富の差が拡大したっていうのは、実際のデータに基づいていない、誤った感覚だったってことです。ちなみに上の図の、貧富の差を表す数値のことをジニ係数って言います。まぁ言葉自体はどうでもええです。

で、図で気にすべきは、青い棒だけじゃなくて赤い棒もです。実は青い棒は、所得そのものから、税金と社会保障を引いて、社会保障の給付を加えたもの。


それに対して赤い棒は、これらの処理をする前のものです。つまりサラリーマンの給料でざっくり言えば、赤いやつが額面で、青いやつが手取りです。ということはつまり、額面上の給料つまり赤い棒ベースでいうと、貧富の差は拡大しているっていうこと。

でも貧富の差は実際の手元に入るキャッシュで判断すべきで、その意味では、貧富の差は1990年ごろからほぼ変わっていないってことです。これは感覚ではなくてデータでしっかり見ないといけない好例ですな。また、高い高いと言われる税金、社会保障がその格差を無くすのに一役買ってるっていうことですね。

むしろ2011年からは、青い棒の値は緩やかに下がってます。

つまり貧富の差は拡大どころか、むしろ縮小しているということ。

2012年ごろから安倍さんが総理大臣だったので、賛否あるとは思いますが少なくとも安倍さんは貧富の差の縮小については良い仕事をしたってことです。ちなみにじゃあ、年代別に見てみるとどうなるか。これがその図で、

出典; 厚生労働省 URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-10.html

これを見ると、50-54歳より年上の年代は、赤い棒が、年代が上がるにつれて激しく上昇します。

これは恐らくですが、通常サラリーマンに定年があることが多いことを考えると、高齢者は一部の経営者と、再雇用のような形で給料をもらっている人がいる一方で、その他の方はリタイヤしている方がほとんどであることが原因だと推測します。働いている高齢者も、年代が高くなるほどリタイヤしていく人が多くなるはずなので、格差はどんどん開いていく、と。

そして、年代が高くなっても青い方は若い世代とあんまり変わらない値になってるってことは、特に高齢者の貧富の差を無くすのにに、大きく一役買っているっていうことです。


今後はどうなるか

貧富の差が拡大しているはデマだったと。ここまでは良いが、貧富の差を無くすために使われているわたしたちの税や社会保険の多くは、高齢者に使われているわけです。そして御存知の通り、高齢化が年々進んでいる。こちらは内閣府の出したものです。高齢化の割合が分かる、右肩上がりの赤い折れ線グラフのみに着目してみてください。

出典: 内閣府 URL: https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/gaiyou/s1_1.html

先程の赤青グラフは1991年-2017年でした、このグラフでそのあたりの赤い折れ線グラフを見てみると、1990年ごろは12.1%だったのが、2019年頃には28.4%まで上昇しています。今後2065年にかけて高齢化が上昇し続けることを考えると、貧富の差を今まで通り抑えるためには、更に税・社会保障の財源が必要になるっていうことですね。

このトピックではてっきり20歳〜65歳までの中で、社会的弱者といわれれ、貧困に苦しむ方のために財源が多く利用されていて、それが貧富の差の拡大の食い止めを実現している!おぉ〜!素晴らしい!的な筋書きを想像してました。それなのにいつのまにか年金問題にすり替わってしまったのがなんか微妙な感じではあります。

でも、もちろん高齢者の貧富の差をなくしている事自体も素晴らしいことですし、言うまでもなく若い世代の格差減少にも財源は使われていますので良しとしましょう。


どうあるべきか

もう一度最初の図を貼っておきます。国からの補助によって貧富の差は少なくなる(=下の図の青い棒)ように対策が取られていること自体については、これはこれでよいと思います。

ただ、あるべき姿としては

赤い棒の状態では貧富の差が大きいが、貧富の差はあっても国民全体の所得が大きく皆豊か

であることは間違いない。こうなると正確な表現は、貧富の差というよりは、所得格差です。所得の差があろうがその差が大きかろうが、日本人全体の所得が高ければ何も問題ない。これが実現できれば、そもそも国からの補助はいらなくなるか、少なくて済むわけです。こうなると結局大切なのは賃金上昇ってことになりますね。これについても、機会があれば記事にしたいと思っています。


最後に

ということで、貧富の差が拡大しているっていうのはデマでした。むしろ2014年から2017年までは縮小しています。感覚で判断しては痛い目にあいます。データを見て判断しましょう。もちろんビジネスの世界でも同様だと思います。

では!

林 高行

株式会社ヴィクセス代表取締役。東京工業大学大学院を修了後、シティバンク、エヌ、エイを経てみずほ証券にてリスク統括部にて金融派生商品の定量分析業務に従事。2012年にヴィクセスを設立。以降IT, ファイナンス領域で顧客を支援。

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