訪日外国人の政府目標はこうやって到達しよう!

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こんにちは!DX顧問サービスの林です。今日はインバウンド、訪日外国人観光客について書いてみたいと思います。

日本は安倍政権時代に官房長官だった菅さんが、訪日外国人観光客増加の大きな要因に訪日ビザ(査証)の緩和という対策をとったことにより、大きく訪日外国人観光客の数を増やしました。下の図を見ると、安倍政権になる直前の2012年ごろは836万人だったものが、2019年には、3188万人と約4倍に!

出典: 国土交通省URL: https://www.mlit.go.jp/statistics/content/001408959.pdf

このままだと、5000万人、6000万人が視野に入ってきそうです。金額ベースで見ると、2019年には、訪日外国人観光客による消費額は4.8兆円に達していました。この年の実質GDPは553兆円程だったので、実に0.87%に!下の図は安倍政権発足後の、実質GDPに対する訪日外国人観光客の消費額の割合です。順調に上がってきてます。

ところがコロナでこれも一気にしぼみました。しかも岸田さんは、国内でのコロナの状況が大きく改善しているにも関わらず、受け入れ厳格化を緩めようとしません。困ったもんです。現在では、1日2万人まで、っていうことなんで、年間730万人までしか受け入れられないっていうことですね。つまり訪日ビザ緩和以前に逆戻りってことです。もったいないです。

一方国としては、インバウンドに対して

2030年に6000万人、消費額は15兆円

を目標にしてます。

では、コロナによる制限が終わったら、時期は後ろにずれ込むのは仕方がないとしても、6000万人、15兆円は今到達できるのか?考えてみたいと思います。


どうやって消費額を上げるか

まず基本的な考え方として、海外から日本に来て頂いて、日本のことを知ってもらうこと、日本を好きになってもらうこと。これらは日本人としてはすごく嬉しいことです。でも、これが目的ではありません。訪日外国人の人口を増やすインセンティブは、最終的には、

お金を使ってもらう

ことのはずです。なので、まずは消費額ベースで見てみます。

出典: 国土交通省のデータを元に弊社が作成, URL: https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

上位5位は、東京、大阪、北海道、京都府、沖縄です。まぁ、想像できる範囲ですよね。またこれをみると、神奈川県から右の都道府県全て、コロナ禍前でも消費額は、上位5に比べると遥かに小さいことがわかります。

より実態を掴むために、掘り下げてみましょう。消費額は

消費額 = 一人あたり消費額 * 訪日外国人観光客数

となります。


訪日外国人観光客数を増やせるか?

まずは訪日外国人観光客数から見てみると・・・。

出典元: resasのデータより弊社が作成 URL: https://resas.go.jp/

このグラフを見ると、過半数の都道府県では、そもそも訪日外国人の数がとても少ないことがわかります。見てきたデータは、訪日外国人が増えたと歓喜していた2019年のデータです。増えた増えたと言っていても、それは都市部とごく一部の地方だけで、これらと比較すると非常に少ないってことです。コロナ前で3188万人だったものが、コロナで730万人、その後6000万人に戻すには、

一刻も早い入国規制の撤廃

は必要ですが、それでコロナ前に戻っても、更に2800万人、つまりおよそ2倍にしないといけないのです。ということはどの県がどうっていうお話では無さそうです。

一方どの国も海外からの観光客を呼び込むために必死に国策を打っているわけです。ってことは競争は激化するわけで、これは並大抵ではないです。政府挙げての海外への誘致活動が必要になると思います。つまり

訪日外国人観光客の人数増加については国マター

といえるわけです。


一人あたり消費額は増やせるか?

一方一人あたり消費額は国マターなのか?

さっき見た人数のグラフをもう一度見てみると、大阪、東京、京都までは納得がいくのですが、千葉と奈良が、すごく多いですね。インバウンドの人口が良いのはいいことですが、消費額のグラフでは順位が低かったのです。ということは、一人あたり消費額が少ないはず。と思ってみてみると・・・・

出典元: 国土交通省のデータより弊社が作成, URL: https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

ち、千葉と奈良・・・・・。一番右の最下位と下から2番目です。

(ちなみにこちらのグラフは、都道府県間交通費は除いています。)

政府目標は年間6000万人の15兆円でした。ということは一人あたり消費額は25万円の計算になります。都道府県間の交通費を除いているとはいえ、上の図を見ると消費額1位の北海道でさえ12万円に満たないのです。2012年以降政府が訪日ビザを緩和したことによって訪日外国人は大幅に増えました。しかし、上で見たら明らかなように、何らかの対策をしなければ、訪日外国人による消費額のトップラインは、そこそこで頭打ちになるでしょう。ってことは政府目標には到底届かないってことです。

このグラフが意味する所は何か?さっき目標に向けて訪日外国人の人数を上げるのは国の対応になるって書きました。でも、

一人あたり消費額の向上は「都道府県側」が主体的に対策する必要がある

ってことです。

ひるがえって奈良に着目してみます。実はわたし出身は大阪ですが、中学・高校と奈良の山奥の奈良学園という所に通っておりました。なので奈良のことはある程度わかりますが、東大寺、平城宮跡、新薬師寺、唐招提寺など、歴史的な建造物にあふれていて、とても観光資源に恵まれた県だと思います。だからこそ訪問人数は多いわけです。ところが消費額はすごく低い。

先程消費額は

消費額 = 一人あたり消費額 * 訪日外国人観光客数

と書きましたが、一人あたり消費額を高めるにはどうしたらよいか。奈良は一人あたり消費額が7千円です。

7千円!

7千円っておかしくないですかね?旅行して一つの県で7千円ってことは

その県に宿泊してない

ってことです。観光で奈良に行くけども、奈良の近県に宿泊してるってことです。という意味で考えると、消費単価のグラフで、大阪が第4位になっていました。つまり奈良を訪れる訪日外国人は、大阪に宿泊し、日帰りで奈良に観光に行ってるってことです。

ということは、もしかして奈良のホテルって少なかったりするの?って思ったので見てみます。都道府県別のホテルの数です。

出典元: 都道府県市区町村のデータより弊社作成 URL: https://uub.jp/pdr/ss/hotel.html

な、な、奈良。。。。。下から2番目。。。。

何も奈良だけにフォーカスしたかったわけではなく、どうやら宿泊施設と一人あたり消費額は関係がありそうです。ってことでその相関を調べてみます。

おお。しかも相関の強さを表す相関係数はなんと0.87!考えてみれば当たり前のことで、ホテル代を払うので、消費額は多くなるってことです。でも、滞在したくなるほどのコンテンツがその県にあれば、宿泊施設を増やすことでその県の消費額は多くなるということの証明でもあります。奈良だってそうだと思います。

宿泊施設を増やす

これはあくまでも地方の県の消費額を上げるためのものです。地方の県がたとえ宿泊施設を増やしても、旅行者の滞在する都道府県が変わるだけで、日本全体で見れば変化はないと思います。また、観光資源がゼロならば、いくら宿泊施設を増やしても無意味です。が、例えば奈良のような豊富な資源があるのであれば、宿泊施設を増やすことは得策だと思うわけです。考えてみれば、地方に旅行にいった時に素敵だなって思わない県は今までありませんでした。恐らくどの県もそれぞれ他とは異なる特徴を持った素晴らしさがあると思います。

宿泊日数を長くする

一方、宿泊日数を長くすると、直接消費にきいてくるので、こちらは日本の観光産業の市場の拡大を意味しますね。絶対やったほうが良いです。

宿泊日数は、2019年だと8.8泊です。観光者が滞在日数を1日増やして、しかもそのまんま同じような購買行動をすると仮定した場合、1泊増えると消費は11%アップです。2泊で22%です。

世界の観光収入世界第1位のアメリカと2位のスペインは14日くらい泊まりますので、滞在日数14日が実現できた場合、一人あたり消費額は59%アップです。ってことは消費額全体も59%アップってことです。コロナ禍前の消費額4.8兆円は、7.6兆円になる計算になります。15兆円にはまだまだ届きませんが、恐らく宿泊日数の上昇という対策は有効だと良いと思うのですが、どうでしょう。

基本的に宿泊日数を長くするのは、都道府県の対策だとは思いますが、もし一つ政府ができることとしたら、

訪日外国人観光客の平均宿泊日数のアップに応じて、各都道府県にインセンティブを与える

とよいのではないかと思います。これであれば、観光消費によるお金だけでなく、政府からもお金がもらえてダブルで嬉しいはずです。

一方宿泊施設は、どんなものでも良いっていうわけにはいかないでしょうね。いわゆるバブル期にあったような大規模なホテルは、外国人は喜ばないでしょう。地方都市に溶け込んだ、その土地その土地の良さを生かした宿泊施設を作っていく必要があると思います。

旅行者から見ても、この旅館が良いからこの県にに滞在しよう、というよりは、県全体の魅力で判断するはずです。なので、県に入ってから出るまでの行動全体に対して、一貫した県のイメージと体験を与えられるようなコンテンツ作りが必要なんだと思います。

その意味ではバブル時代のような大規模ホテルや、街道沿いのコンビニなんかも、「一貫した体験を与えるコンテンツ」には邪魔だと思います。一方、日本には誇れるのに全く活かしきれていない観光資源がめちゃくちゃあります。これを生かさない手はありません。下の写真は宮崎の都井岬です。私が取った写真です。海もきれい、野生の馬もいる。天国です。

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林 高行

株式会社ヴィクセス代表取締役。東京工業大学大学院を修了後、シティバンク、エヌ、エイを経てみずほ証券にてリスク統括部にて金融派生商品の定量分析業務に従事。2012年にヴィクセスを設立。以降IT, ファイナンス領域で顧客を支援。

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