そろそろ少子化について真剣に考えてみよう

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皆さんこんにちは!DX顧問サービスのヴィクセス 林です。今日は少子化について書いてみたいと思います。テーマは、なぜ日本で少子化は起こるのか?

今回はいろんな可能性を考えて、データを見ながら、書いていきたいと思います。

昨今少子化ってあちこちで聞きますよね。まぁ本当ですもんね。これが人口の予測。

出典:国土交通省
URL: https://www.mlit.go.jp/common/000135837.pdf

1900年頃から人口は急増してますね。ただ、2004年をピークに、急減していくようです。

さらに、ただでさえ、少子化で人口減だったのに政府によるコロナの失策により、減少が早まったと言われています。

で、日本の少子化の原因はなんなのか?いくつかよくいわれている可能性をならべてみると

  1. そもそも未婚率が高まっているから。

  2. 日本人の貧困が進んでいて、育てられなくなったから。

こんなところでしょう。


可能性1: そもそも未婚率が高まっているから

日本の男女の未婚率は以下の通り。

出典: 厚生労働省のデータよりヴィクセスが作成 URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/backdata/1-1-2.html

女性は2005年頃から、男性は1990年頃から急速に上がってますね。未婚率、つまり結婚しない人が増えていることが日本人の少子化の原因というのはよく聞きますよね。ならば未婚率を下げるというのが常套手段でしょう。でももう一つ手があります。それは

結婚せずに子供を持つということ

です。ネットのある記事で、非嫡出子をもっと増やすべきだと仰っているわたしの大好きな著名人がいました。未婚の状態で生まれてくる子供というのは「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」といいます。そして、その方の記事では、非嫡出子が日本で増えない原因は「戸籍」のせいだ、と。

結婚しなければ子供が「夫婦の戸籍」に入れず可哀想なので、堕胎するか、或いは子供を作らないでおきましょうとなるため、日本では未婚の状態で生まれてくる子供が少ないというものです。

そこで、国別のデータを見てみることにしましょう。

世界各国の婚外子の割合

出典: 社会実情データ図録 URL: http://honkawa2.sakura.ne.jp/1520.html

日本、韓国、トルコだけ他国と比べて異様に低いですね。ちなみにこの3国は、出生率は低く、日本は1.4, 韓国はなんと0.9, トルコは2.1です。確かにこれを見ると少子化の原因は非嫡出子を日本が持ちにくいことが原因のように見えます。

ということは非嫡出子が多いその他の国は出生率も高いはず。上の図に、そのまんま出生率も表してみました。青いバーが2016年の婚外子割合、つまり上のグラフそのもの、赤が出生率です。

出典: 社会実情データ図録のデータよりヴィクセスが作成, ELEMNIST, URL: http://honkawa2.sakura.ne.jp/1520.html, https://eleminist.com/article/1714

なんとこれを見ると、さっきの図で非嫡出子の割合が高い国でも、たくさんの国で出生率が低いことがわかります。イスラエルとトルコを除けば、婚外子割合と出生率には、関係がないといってよいでしょう。

ということは、

非嫡出子の割合が増えたからといって、それにより少子化が解決されるわけではない

ってことです。

また戸籍の話でいうと、先程「戸籍に入れず」という話がありましたが、そんなことはありません。非嫡出子であっても、日本では生まれた時にお母さんの戸籍には入るのです。なので、戸籍に入れてもらえないなんてことはないのです。ではお父さん側はというと、認知さえしてくれれば、戸籍に父親として登録されるのです。するとお父さんも戸籍上の父親となります。なのでこの側面からみても、戸籍のせいで出生率が下がっていて、戸籍を廃止したら出生率が上がるというわけでもなさそうです。

というわけで、まとめると、巷でよくいわれているような、

  • 未婚率が高まっているから

  • 戸籍のせいで非嫡出子が戸籍をもてないから

ことが理由で出生率が低くなっているわけではなさそうです。


可能性2: 貧困により、生んでも育てられないから

じゃあ、貧困が進んできた、つまり子供を生んでも育てる経済的余裕がないからってのはどうでしょう?なんかそれっぽい感じがしますね。

もしこの仮説が正しければ、貧困が進んでいる国は、きっと出生率が低いと思うので、貧困率が高い国をリストアップしましょう。下のグラフはOECD諸国の相対的貧困率です。相対的貧困率っていうのは、生きられないほど貧困ということではなくて、ある国の国民のなかで、相対的に貧困な人の割合ってことです。

出典元: イーズ未来共創フォーラム, URL: https://www.es-inc.jp/graphs/2017/grh_id009158.html

OECD加盟国中日本は貧困率が8位なのがびっくりですが、それはまた別の機会に。では上のグラフと同じ国の順で出生率を出してみます。国の順番は同じにしてあるので、上と見比べてみて下さい。

出典: ELEMNISTのデータよりヴィクセスが作成, URL: https://eleminist.com/article/1714

出生率、あんまりどこも変わらないですね。。。少なくとも貧困率が高くなったからといって出生率が下がる傾向はありませんね。。。イスラエルはむしろ高いですし。また、少子化を防ぐ、言い換えると人口維持或いは増加をしようとした場合、親が2人いるわけですから、子供も2人以上だろうとざっくり想像できます。そういう意味でいうと、イスラエルを除いて、

OECD加盟国、つまり先進国のどの国も出世率が低い

と言えると思います。

さっきはOECD、つまり先進国で見たので、今度は開発途上国で見てみましょう。

出典元: 国際統計格付センターよりヴィクセスが作成 URL: https://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2046R.html

これらが貧困率トップ20、全て開発途上国です。OECE諸国の貧困率は5%から20%程度でしたが、それに比べると50%から80%と、非常に高いのが特徴です。今度はこれらの国に対して出生率をリストアップしてみましょう。グラフにおける国の順序はそのままにしてあります。

出典: 国際統計格付センターのデータよりヴィクセスが作成, ELEMNIST, URL: https://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2046R.html, https://eleminist.com/article/1714

なんと。先進国の貧困率よりもずっと貧困率が高い国なのに、むしろ出生率が全体的にさっきより高くなっていますね。

そしてこちらもOECD諸国の時と同様、貧困率と出生率に関係が見いだせません。

ということは

  • 貧困率と出生率には、関係がない。言い換えると貧困だからといって、子供を産まないわけではない

  • 出生率には、先進国と発展途上国とで、大きく値が異なる何らかの原因がある

ということです。

なんだかよくわからん展開になってきました。元々は日本が少子化になっている理由でしたが。。でもまぁせっかくなので、もうちょっと考えてみることにします。今回のトピックである少子化、言い換えると出生率に関して、先進国と開発途上国を分けるような要因は何か?これを掘り下げれば、日本の少子化について分かる手がかりが得られるかも知れません。


出生率に及ぼす要因1つ目

出生率は、なんで先進国と開発途上国とで違いが出るのか?何が原因なのか?

これは2つあるとわたしは考えました。1つ目にはまず平均寿命です。平均寿命が短ければ、生物学的に出産するインセンティブが生まれるはず。取得できるデータの範囲内で、各国の平均寿命と出生率との関係をグラフにしたものはこちら。183ヶ国分です。

出典: memorvaのデータよりヴィクセスが作成 URL: https://memorva.jp/ranking/unfpa/who_whs_life_expectancy.php

これは相関図と呼ばれるもので、関係があれば、直線に近くなります。割と右下がりの直線に近いと思います。また、相関関係の強さを表す相関係数というものがあります。これの値は、-0.8081でした。これは相関関係の強さとしてはとても強いものです。なので、

平均寿命と出生率には相関関係がある

と言って良さそうです。また、さっきちょっと書きましたが、平均寿命が短ければそれだけ種族保存のために子供を沢山生むインセンティブが働くでしょう。なので、

平均寿命と出生率の間には因果関係がある

と言えそうです。

細かい表現ではありますが、相関関係と因果関係は異なるのものであり、気をつけないといけないので、ここではこのように整理しました。


出生率に及ぼす2つ目の要因

では2つめの要因は何か?これは国の産業構造にあると思います。向かい社会で習った、第一次産業、第二次産業、第三次産業っていうあれです。そのうち第一次産業は、農業、林業、漁業です。

第一次産業に従事する世帯では、放課後や休日・祝日など、義務教育を妨げない範囲で、子供に手伝ってもらうことが仕事をする上でインセンティブになったと考えられるのです。

一方第三次産業が発達した国だと、仕事を子供に手伝ってもらうのは難しいと思います。

ここで実際に国別に第一次産業に関わる人口の割合と出生率について関係を見てみましょう。184ヶ国分のデータです。

出典:帝国書院のデータよりヴィクセスが作成 URL: https://ict.teikokushoin.co.jp/statistics/world05a.xhtml

傾向が出たように思います。関係の強さを表す相関係数は0.74 でした。これは強い関係を示唆するものです。

つまり

第一次産業に関わる人の割合と出生率には因果関係がある

といえそうです。

ちなみに日本の手伝いに関して書かれたこちらの論文を読むと、やはり農業社会では子供が補助労働力として捉えられていて、子供達はしっかりと両親の農作業を手伝っていたようです。1942年の小学4年生で、平日では1日に40分から76分、日曜日では64分から129分も手伝っていたというデータが掲載されています。


日本はどうか

やっと日本に戻ってこれました。まずは日本の平均寿命の推移を見てみます。

出典: 厚生労働省のデータからヴィクセスが作成, URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-01.html

これを見ると平均寿命は右肩上がりですね。次に日本の産業別での働く人数の割合の推移を見てみましょう。

出典: 労働政策研究・研修機構のデータからヴィクセスが作成 URL: https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0204.html

1950年頃は46%程度もの人が第一次産業に従事していましたが、その後は大きく下がってます。一方こちらは出生率です。

出典元: 厚生労働省のデータよりヴィクセスが作成 URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html

平均寿命の上昇、第一次産業従事数の割合の低下と平仄を合わすように、出生率も減少していますね。というわけで、日本でも平均寿命と産業構成が出生率に影響を及ぼしていると考えられます。

まとめると、少子化に影響を及ぼすのは、

  • 平均寿命

  • 第一次産業の従事人数の割合

といえると思います。平均寿命の伸びは「医療の進歩と充実」と言い換えることも出来ると思います。


じゃあどうするの?

で、ここまで見てきて、じゃあ少子化を食い止めるにはどうしたらよいかというと、それはもうほぼ無理だとわたしは思います。考えても多分時間の無駄だと思います。少子化をどうやって防ぐかっていう議論をするよりも、少子化によって人口が減少してゆく日本を受け入れて、それでも豊かな国造りをしてゆくにはどうしたらよいかを考えたほうが生産的です。なぜでしょうか?

これまで見てきたように、少子化を食い止めるには、

  • 平均寿命を下げる

  • 第一次産業の人口の割合を増やす

のどちらかの対策をとることです。1点目の平均寿命を下げる、つまり「医療の進歩と充実を無くす」っていうのはありえないですよね。わざわざ人々の寿命が下がるような対策なんて意図的に取れるはずがありません。

では2点目の「第一次産業の人口の割合を増やす」ですが、できるでしょうか?

また、するとしたら、どれくらいまで増やせばよいのか?

日本の人口が増えないけど減らないっていうレベルにしようとすると、2.07必要と言われています。前の段落で出した2つのグラフを見てみると、出生率を2.07にするためには、第一次産業の人口の割合は30%程度が必要になります。これは今の産業構造からの大転換を意味しますので、実質現実的ではないでしょう。


日本だけの問題じゃなく先進国全体の問題だった

ここまで見てみると、少子化は実は日本だけの問題ではなくて、先進国全体の問題であることがわかります。医療が充実しているために平均寿命が長く、また農業などの第一次産業に携わる人口が少ないことが原因なのです。

なので、さっきも書きましたが、少子化は受け入れて、それでも豊かに暮らせる国造りを考えた方が、意義があると思います。

また、少子化問題をなんとかするために、移民の受け入れを考える人がいますが、これもあまり良い考え方ではないように思います。なぜならば、ほぼ全ての先進国が少子化に悩む中、移民の受け入れを主軸に置くってことは何を意味するか?

これは少子化によって人口減に悩む他国の、更なる人口減を促すことを意味します。これはあまり美しい考え方ではないでしょう。

或いは、もしかしたら多くの先進国が移民の受け入れを活発化させるかもしれません。そうなると激しい移民の獲得競争が待っています。

これは、先進国全体で対策を考えてゆくべきだと思います。

最後になりますが、わたし林はDX顧問サービスをやっております。企業のDX戦略支援をやっております。

では!

林 高行

株式会社ヴィクセス代表取締役。東京工業大学大学院を修了後、シティバンク、エヌ、エイを経てみずほ証券にてリスク統括部にて金融派生商品の定量分析業務に従事。2012年にヴィクセスを設立。以降IT, ファイナンス領域で顧客を支援。

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