DX顧問サービス実例紹介、Google Analyticsをスルメのように活用する
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1.「とりあえず」ですか?
サイトを構築する際に、今では基本となっているGoogle Analytics(長いので以下GAとさせて下さい)。
これ、入れて、訪問人数だけチェックして、終わっていませんか?
だとすると実にもったいないです。GAは機能と情報量が多すぎて、はっきり言って使うのは難しいと思います。でもきちんと取り組むことで、実は、スルメのように色々なことを教えてくれます。
今日は、過去に取り組んだGAのデータ分析を書いてみます。この時はDX顧問というサービスではありませんでしたが、支援内容はDX顧問も同様なので、御参考頂ければと思います。DX顧問サービスでは、エンタープライズプランでデータ分析支援を行います。
今回紹介する分析対象は、ECサイトです。
特にECサイトでは、データの分析が重要となりますが、他にもB2Bの企業サイトやクラウドサービス、 B2Cのサービスサイト等全てにおいて、GAは事業成長に向けた重大な示唆をくれることが多々ありますので必須といえます。是非参考にしてみて下さい。なおGAの分析を全てここで説明すると膨大な内容になりますので、ここではご支援した内容の一部のみをご紹介しています。
いきなりで申し訳ないのですが、大前提として、「商品自体に訴求力が無いと、何をやっても難しい」と思います。
商品やサービス自体に訴求力がないと、いかにマーケティングや、離脱率低下のためのデータ分析をしても本質的な解決にはならないかな、と。まずは魅力的な商品なりサービスがあり、しかしサイトに何らかの改善点がある時に、サイトを改善することでコンバージョンがアップするのだと思います。
— 林高行@データオタクIT社長 (@takayuki884san) October 24, 2021
商品自体は良いのにサイトの作り込みが良くない場合に限り、サイトの分析をして改善を行うことに意味があり、それによってコンバージョンの向上が期待できます。商品自体がそもそも訴求力が低いのに、サイトを改善してコンバージョンが上がったとしてもそれは一時的なものに過ぎないと思います。
ですので、以降それはクリアしているという前提で、読み進めて頂ければと思います。
3.基本的な考え方
ECサイトの改善を行うためにGAを分析する場合、基本的な考え方はなんでしょうか?これは「いかに来てもらうか」「いかに買ってもらうか」だと思います。当たり前、と思われるかもしれませんが、あくまでもこれは抽象的な概念です。より具体的に考えたものが次以降です。
4.いかに来てもらうかの例1: 休眠ユーザーの再訪問
顧客を3つの層に分けて考えてみましょう。リピーター、新規訪問客、休眠ユーザーです。新規訪問ユーザーよりも、既存顧客からのリピート購買の方がコンバージョンしやすいですが、同じく休眠ユーザーも、新規訪問ユーザーよりはコンバージョンしやすいでしょう。なので休眠ユーザーが再訪問につながった手段が何だったのか、何に興味を持って再訪問したのかを知ることが出来ます。これが下の画面です(クリックで拡大します)。
ここでは、デバイスごとのセグメントを作成した上(以降全て、デバイスごとにセグメントを作成して分析しています)で、ランディングページを見ています。休眠ユーザーというセグメントを作成した上で、ランディングページ一覧を見ることで、休眠ユーザーがどのページに魅力を再度感じて再訪問を決心したのかが明らかになります。この後は、休眠ユーザーの興味に引かれるような掘り起こし施策を行えば、購入率の向上を期待できます。新規顧客の獲得よりは、コスト面でも低い場合があります。
5.いかに買ってもらうかの例1: デバイスごとの直帰率
価格も含め商品に訴求力があるのであれば、サイトの作りに問題があると考えることが出来ます。「いかに買ってもらうか」とはつまり、「いかに購入ボタンを押してもらうか」、つまり「いかに離脱しないか」と言いかえることが出来ると考えます。
「いかに離脱しないか」でまず調査するべきなのは、「直帰率」です。直帰率とは簡単にいうと、サイトに来たユーザーのうち、1ページ目だけみて離脱してしまったユーザーの割合です(わかりやすさのため、厳密な説明はしていません)。
これがデバイス別にみて、あるデバイスだけ以上に高い場合には対策をすることで直帰率を下げることが出来ます。直帰率が下がれば、「いかに離脱しないか」に効果があり、そしてコンバージョンアップが期待できます。
一般的に直帰する原因は、以下のようなものが考えられます。
そもそもユーザーのニーズとページが合致していない
ニーズは合致しているが、サイトの表現が悪い
うまくサイトは表現できているが、次のアクション(CTAといいます)がユーザーに正しく伝わっていない
ページの読み取り速度が遅すぎる
直帰率が高い「デバイス」の「ページ」を見つけた上で、上の原因を一つづつ考えてゆき、改善につなげます。
下はデバイス別の直帰率を表したものです。スマホユーザーだけ、高い直帰率となっています。ここを改善することで、コンバージョンの向上が実現できる可能性があります(クリックで拡大します)。
6.いかに買ってもらうかの例2: スマホランディングページ別直帰率(降順)
直帰率が特に高いデバイスが見つかったら、更に掘り下げるために、ランディングページ別に直帰率を一覧で表示します。今回の例では、スマホの直帰率が高かったため、スマホで調査します。以下は、その画面です。
上から順に、直帰率が高いものから順に表示されています。これらのページがまさしく、改善されるべきページです。特にこの中でも、セッション数や新規ユーザー数が多いページから取り掛かります。理由はそれが一番コンバージョンへの効果が大きいからです。
7.いかに買ってもらうかの例4: 高収益の動線を見つけてランディングページを最適化
あるページに最初に訪問した後、どの経路をたどるともっともコンバージョンレートが高いのでしょうか?もしそれがわかれば、コンバージョンが高いページへの遷移をより促すようにサイトのレイアウトを変更することで、よりコンバージョンが上がるはずです。
下は、ランディングページと2ページ目ごとに、コンバージョンを一覧化したものです。こちらを見て、商品カテゴリの一覧の順序を変更するなど、サイトを改修し、コンバージョンが上がるようにします。
8.立ち上げてすぐの場合は、どちらから手をつけるのか?
いかに来てもらうのか、いかに買ってもらうのか、どちらを行うにしても、広告費用やサイト改善のためのコストがかかります。もちろん無料であればどちらも対処したらよいのですが、そういうケースはほぼ無いはずです。
既に運用済みの場合は、どちらも並行して行えば良いと思います。しかし立ち上げてすぐの場合は、「いかに来てもらえるか」も、「いかに買ってもらえるか」のどちらも、不明な中でのスタートとなります。
であれば、改善は、サイトを立ち上げてすぐの場合、どちらから進めればよいのでしょうか?
この場合は、「いかに買ってもらえるか」の構築を先にしましょう。単純な話ですが、「買ってもらえないサイト」のまんま「来てもらえるサイト」を作り上げたとして、もしユーザーがサイトに訪問しても、離脱する可能性が高くなってしまうため、「来てもらえるサイト」作りにかけたコストが無駄遣いとなってしまうためです。
9.最後に
今回は私が御支援している内容の一つ、Google Analyticsのデータ分析業務の一部をご紹介しました。最後にとても大切なことを記しておきます。私がしましたこちらのツイート
ただ、データ分析に取り組む上で大切なことは、分析の結果判明した改善箇所を、「改修」として、サイトに取り入れる体制があること。これがなければ絵に描いた餅。分析者、経営者、開発者がワンチームとなって分析→改善→結果収集→分析….と、PDCAサイクルのように繰り返す必要があるのかな、と。
— 林高行@データオタクIT社長 (@takayuki884san) October 23, 2021
の通りです。データ分析、実はとっても大変なんです。意味のあるデータが出てくることなんて稀で、基本的に意味のないデータばかりです。仮設を立てて、データで検証する、を何度も何度も繰り返します。その結果提出した分析内容ですが、まず経営者がこの内容に対して、改善の必要性を感じていなければ、サイトに反映されることはありません。ただの絵に描いた餅となってしまいます。
つまり経営者の方による、サイト成長への思いが必要です。
次に必要なのは、これを迅速にサイトに反映できる体制です。開発が必要ならば開発体制、開発が不要でサイトを改善できるクラウドサービス等を使っている場合には、こちらへの反映を行える体制が必要です。「分析する人」、「決める人」、「作る人」による連携が極めて重要だと思います。