ステップ3 KPIの可視化の設計

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はじめに

これまでのステップにて、KGIとKPIは適切に設定できたかと思います(KGIの設定方法はこちら、KPIの設定方法はこちら)。KPIを設定した後は、当然これらをモニタリングしなければいけません。しかし、KPIが適切に設定出来ていたとしても、可視化の方法が適切でないと、データドリブン経営の効果は薄れてしまいます。今回はKPIの可視化設計について、大切なポイントを説明します。ポイントは3つあります。

  1. 集計方法

  2. 表示期間

  3. 表示方法

です。順に見てゆきましょう。


集計方法を決める

集計方法について検討する際には大きく分けて、時間に関するものと、ビジネスカテゴリに関するものの、2つあります。時間は、年・月・週などで、ビジネスカテゴリは地域別や、商品別、顧客年代別、などのようなものです。ビジネスカテゴリについては、KPIの設定時に既に決められていると思いますので、ここでは時間の集計について留意すべきポイントを見てゆきましょう。

KPIは、どの時間単位で集計・表示させるのが適切でしょうか?もちろんKPI次第で変わるため一概には言えませんが、もともとデータを可視化させるのは、改善点を見つけ出し、ビジネスを急成長をさせることが目的でした。

よって考えるポイントとしては、

  1. 目標まであとどのくらいかがわかるように

  2. 施策の効果がわかるように

をわかりやすく確認できるように、いくつかの集計方法を決めることが重要です。

1. 目標まであとどのくらいかがわかるように

これはKGIやKPIの期間ごとが良いでしょう。過去の期間と比較して、KPIの増減を比較することもできます。1ヶ月ごとに集計するのが目安と言えるでしょう。その理由は、1ヶ月ごとでしたら、各月に注力した可視化された数値と活動内容とが直感的にリンクしやすく、洞察を導きやすいチャートとすることが出来るからです。

2. 施策の効果がわかるように

後どれくらいで目標が達成できるのかを把握すると同時に、一刻も早く達成するために、効果的な施策を模索します。そのためには、1日ごとの集計とするのがよいでしょう。新たな施策を試してみて、更新されたデータを2,3日見てみて、その影響度合いを判断します。データが良くない方向に向かったのであれば、元の施策に戻すか、新たな施策をすぐに試す必要があります。

ここではよくある考え方のみを説明しました。実際には各社各様あり、四半期ごとに集計したい、週ごとに集計したい、などがあるかと思います。どの単位で集計するのがチームや会社にあっているのが、よく話し合って決めることが重要でしょう。ここでは、これ以降、月次と日次として進めてゆきます。

また、ここで検討した時間の集計に加えて、商品カテゴリ、地域、顧客属性別など、ビジネスカテゴリ別にKPIを定義している場合には、集計は2階層で必要となります。

最終的には、各KPIに対して、時間、ビジネスカテゴリそれぞれのどの集計方法を用いるか決定し、下のような形式の表にして、ひと目で分かるようにします。

これで集計方法については完了です。


表示期間を決める

集計方法が決まれば、次に可視化するための期間を決める必要があります。

1. 月次のもの

事業や規模にもよりますが、1年分以上にデータを表示させても、レポートとしての意味はあるかもしれませんが、事業成長のヒントとなるようなものは得られにくいと考えられます。1年以上前とは状況が大きく変わっている事が多いからです。ただ、例外として、ビジネスの概況に季節性が存在するものの場合、前年同月比などが重要な指標となる場合があります。この場合には、表示期間は6ヶ月ではあるもの、チャートの項目自体は今年のデータ、去年のデータが必要となります。

2. 日次のもの

表示期間は過去30~50日間程度とするのがよいでしょう。表示期間は月初など期間の最初からでよいのではないか?と思われるかもしれませんが、期間の最初からですと、最初数日間は効果的な施策発見のための振り返りに必要なデータが表示されなくなってしまいます。1ヶ月は約20営業日程しかありません。1日も無駄にできません。過去30~50日程度とすることで、それまでの実績との比較ができるようになり、期初の数日間も、有効に活動することができるようになります。


表示方法を決める

集計方法、表示期間を設計した後は、次に、表示方法を決めなければいけません。これにはチャートの種類の検討が必要となります。

チャートの種類

条件に応じて、適切なチャートは変わります。下に、状況別の表示方法をツリー形式にしてまとめました。

左から順に見ていきますと、時系列データでもなく、カテゴリもないもの、例えば前日の売上速報値などがKPIでる場合には、数値そのものとして標示させます。一方期間中の支店別累積売上など、ビジネスカテゴリのみが存在する場合には、円グラフが適しています。

次に、時系列データであり、積み上げ表示が不要なものは、線グラフ、棒グラフ、エリアグラフ、2軸グラフが利用でき、積み上げ表示が必要なものは、これらのうち線グラフ以外となります。積み上げ表示とは、項目の上に項目を積み上げて表示する表示方式のことです。積み重ね表示には、数値積み上げとパーセント積み上げがあります。数値積み上げはそのまま項目を積み上げます。ですので、各カテゴリごとの数値と共に、その合計値の推移も把握することができます。

それに対して、パーセント積み上げは、各カテゴリ間の割合を表示させることが出来ます。そのため、全体の合計は100%として、推移してゆきます。これはどういう時に役立つかというと、各月間の季節的な傾向を見出したい時などです。全体を100パーセントとなるように標準化しますので、各月間の売上などの合計値にかかわらず、比較ができるようになるからです。

一言で数値積み上げ、パーセント積み上げと言っても、見た目は全く異なりますので、得られる洞察も異なるものとなります。以下は全く同じデータですが、積み上げ無し、数値積み上げ、パーセント積み上げを行ったものです。


メモ:2軸グラフの重要性

弊社では、お客様へのコンサルティングの際には、2軸グラフを頻繁に提案させて頂いております。これは、1つのチャートから、非常に多くの洞察を得ることが出来るからです。

1. コンバージョンレートの場合

コンバージョンレートが低い場合には、原因を以下のように探索する必要があります。例えばお問い合わせへのコンバージョンレートであった場合、

ケース1: お問い合わせページのページビューが増えていて、お問い合わせ数はページビュー程の伸びがないか、若しくは少なくなっていた

ケース2: お問い合わせ数のページビューはそのままだが、離脱が増えていて、お問い合わせ数が減った

ケース3: お問い合わせページのページビューは減っており、お問い合わせ数はそれ以上の減少率で少なくなっていた

この全ての場合において、施策内容が変わってきます。コンバージョンレートだけを表示していては、これらのどのケースなのか、特定できませんが、2軸グラフを利用していると、一目瞭然で特定が可能になります。

2. 値の場合

急成長を実現したいのであれば、成長率も同時に可視化すべきと弊社ではご提案させて頂いています。1軸のグラフですと、これらを同時に見ることが出来ません。例えば新規ユーザーアカウント数や売上など、値としては毎月順調に増加している場合でも、成長率で見ると、鈍化していたりする場合があります。値と同時に成長率をモニタリングしていくことで、より急成長を見込む活動が可能になります。

林 高行

株式会社ヴィクセス代表取締役。東京工業大学大学院を修了後、シティバンク、エヌ、エイを経てみずほ証券にてリスク統括部にて金融派生商品の定量分析業務に従事。2012年にヴィクセスを設立。以降IT, ファイナンス領域で顧客を支援。

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