ステップ4 自社に合ったBIの選び方

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はじめに

これまでのステップで、KGIやKPIを設定し、またその可視化の設計も行うことで、データドリブン経営を行うための経営面での準備は整いました(ステップ一覧はこちら)。次に、事業の継続的な改善を繰り返すための可視化の基盤を社内に導入する必要があります。BIを導入することになるのですが、BIは何回も変更するようなものでもありません。間違いのないように、自社に合ったBIツールを選ばなければなりません。弊社では内製BIなどの導入前後のコンサルティングもさせて頂いており、その経験から、今回は皆様の会社に合ったBIツールを導入することを目的とします。

ポイントは以下の2点となります。

  1. 内製か外部サービスか

  2. 自社に合った外部サービスを選ぶ時のポイント


内製か外部サービスか

可視化基盤を構築する際には、内製とするべきか、外部サービスを導入するのかの検討が必要です。どちらにも長所、短所があり、どちらが一概に、ということは言えません。事業戦略と密接に関連して下される意思決定となります。以下に、内製で構築する際と、外部BIツールを導入する際の長所と短所をまとめました。また、ここでは外部BIツールはセルフサービスBIを前提としています。

上記の長所と短所からわかるように、内製の場合とBIの導入の選択を検討される際には、以下の3点をその判断基準にして頂ければよいでしょう。

  1.  ダッシュボード変更時にかかる時間とコスト

  2. 構築はビジネスユーザーが行うのかIT部が行うのか

  3. データベースの運用に関する観点

1. ダッシュボード変更時にかかる時間とコスト

内製した場合には、KPIに何らかの変更が加わるたびに開発が必要となってしまいます。具体的には例えば

  1. KPIに変更や増加がなされた

  2. チャートの種類を変更したい

  3. 集計単位を増やしたい

などような変更があった場合です。これらのたびに開発のためのコストと、時間がかかってしまいます。

一方、事業自体がそもそもKPIが少なく、また変更もないような場合には、内製した方が一度で済むので良いといえるでしょう。

しかしながら、実際に、KPIが少なく、また変化もしないという事業会社は、あまり多くないかも知れません。それは、事業は基本的には成長してゆくものだからです。事業が成長してゆけば、その各成長段階において、取るべき「戦略」が変わってきます。「戦略」が変わってくれば、「KPI」は変わってきます。KPI自体の数も増えますし、集計単位に変更や追加があったりもします。KPIが変われば、開発が必要になります。つまり、もし内製BIを構築した際には、継続的に開発が必要になる、ということになります。

2. 構築はビジネスユーザーが行うのかIT部が行うのか

内製の場合には、そもそも分析内容自体を開発で構築してしまうので、ビジネスユーザーが分析の設定作業を行うこともありません。それに対してBIの場合には、分析を設定作業を行う主体は、ビジネスユーザーになります。よってBIを利用した際には、分析に関して部署間の折衝が不要になることも特徴の一つでしょう。他部署へのお願いにより必要となってしまう時間が削減したい場合には、BIを利用することが望ましいでしょう。

3. データベースの運用に関する観点

内製の場合には、裏側で発行されるクエリと呼ばれるデータ取得の命令はIT部で管理でき、把握可能なことが大きな特徴です。これに対してBIの場合には、ビジネスユーザーがある程度自由にデータベースからデータを取得することが可能です。そのため、データベースに対してどのような命令が投げられているのか、IT部でも把握するためには工夫が必要です。

とはいうものの、内製の場合もデータの取得頻度を原因とするデータベースへの負荷などは管理しづらくなります。どちらの場合も、実務とは違うデータの運用となるため、安全な運用のためには分析用のサーバーを準備することがより良い方策となります。


自社にあったBIを選ぶ時のポイント

それではもしBIを導入する、ということになった際、どのようなポイントで選ぶのが適切でしょうか?ここでは、選ぶ際に検討項目とするべき7点をご説明します。

  1. 利用人数とその権限

  2. ユーザー間でのビジネス状況の共有

  3. 導入コスト

  4. KPI変更時に必要な作業

  5. 画面更新

  6. 使いやすさ

  7. サポート

  8. トライアルの有無

1. 利用人数とその権限

BIの多くは、利用ユーザーごとの課金となっています。また、権限毎に料金も変わる場合があります。よって、社内の何人が利用するのか、またそのうち何人が分析をし、何人がダッシュボードの表示だけでよいのかをまとめておく必要があります。予算感を鑑みながら、利用ユーザーをしっかりと選別する必要があるでしょう。一旦ユーザー数とその権限の内訳が決まれば、各BIツールごとのコストをざっくりと計算することが可能になり、月々のコストがイメージしやすくなります。

2. ユーザー間でのビジネス状況の共有

利用人数が1人のときは特に問題とはならないのですが、複数ユーザーで利用する際には、

  1. メンバー間の共有に、手間がかからないか?迅速に共有できるか?

  2. それによりどの程度データベースへの負荷がかかるか

の検討が必要となります。1はメンバー間の共有を特に迅速に進める必要が無いのか、あるいは出来るだけ迅速にチームが認識を共有させたいのかにより、対象BIを検討する必要があります。メンバー間の共有に作業が必要となる場合には、その分の作業も見込んでおく必要があります。

そして2点目のデータベースへの負荷については、複数のユーザーがアクセスすることになるので、その際に各BIがその負荷をどのように吸収する仕様になっているのかを確認しておく必要があります。本項目は後の「画面更新」とも関係しています。複数ユーザーがログインしても特にストレスを感じないようなレベルになっているのかどうか、しかも、実際の自社のビジネス利用に即してパフォーマンスを計測する必要があります。

3. 導入コスト

BIには、5分程で導入できるものから、初期に大規模な開発を伴うものまで様々あります。もし大規模な開発が必要な製品の場合には、1でみたようなサービスそのものの利用料金だけではなく、導入時の料金も含めて鑑みる必要があります。また、開発とは別に、導入時には接続のセットアップに複雑なネットワークの設定が必要となるなものもあります。各BIにより導入方法は違います。初期に導入コストをかけてよいのか、それとも初期は抑える方針で進めるのか、予算により検討すべきBI製品が変わってきます。

4. KPI変更時に必要な作業

BIの中にも、刻一刻と変わるビジネスに耐えうる設計となっている製品もあれば、導入後、初期導入時に定義したKPIが変更となった際には開発が必要となるBIもあります。一旦導入すると、BI製品自体の乗り換えはそれなりに時間やコストがかかるため、導入前にしっかりと確認しておくことが重要です。KPI変更時にすぐに対応出来ない製品を導入すると、事業のスピードを速めることは難しくなってしまいます。自社のKPIの変更の可能性などを鑑みて、BI製品を検討する必要があります。

5. 画面更新

BIでは各チャートは、基本的にはダッシュボードと呼ばれる部分にまとめて表示されます。よって、ダッシュボードが表示・更新されるスピードが、利用ユーザーにとって十分に満足行くレベルかどうかを確認する必要があります。表示のスピードが利用ユーザーの要件を満たしていないと、結局使いずらいサービスとなってしまい、利用しなくなってしまう恐れもあります。導入の検討の際には、分析の対象としている自社のデータベースもしくはそれと同等のサーバーに接続し、パフォーマンスを計測しておく必要があります。いざ導入してみると、ダッシュボードの表示や更新が遅すぎて使用に耐えない、とならないようにしておく必要があります。こちらはよく発生する問題なので、特に重要な項目として、事前にチェックされることをお薦め致します。

6. 使いやすさ

ダッシュボードを見るだけのユーザーであれば、特に問題とはならないものの、実際にビジネスデータを分析するユーザーの場合、こちらは重要な視点です。導入したものの使いにくい、ということになるとやはり利用しないBIとなってしまいます。そうならないためにも、もしKPIが決まっていないのであれば先にビジネスレベルでKPIを定義した上で、それらをBI上で構築してみる必要があります。実際に担当するユーザーが各BIにて構築し、最も使いやすいBIを選ぶのが良いでしょう。

7. サポート

分析を行う上で、使い方に関して質問などが出た際に、BIの運営会社がサポートに入ってくれることは重要な項目です。一般的には各BI製品により、利用方法が大きく異なっており、ある程度慣れが必要な製品が多いため、サポートはあった方が良いと考えられます。導入後にうまく利用できず結局使わなくなってしまった、となることの無いよう、導入前からサポートの有無を確認しておくことが重要です。

8. トライアルの有無

これまでの項目で、導入前に検討しておくことが重要な項目を見てきました。なかでも、2と5と6の「ユーザー間でのビジネス状況の共有」、「画面更新」、「使いやすさ」については、導入後に実際に発覚してしまっても後戻りができません。そうならないよう、そもそもトライアルが可能なBIかどうかも重要な項目です。フィージビリティスタディといいますが、実際にトライアルで行ってみて、上の項目を検討してみることが重要です。

林 高行

株式会社ヴィクセス代表取締役。東京工業大学大学院を修了後、シティバンク、エヌ、エイを経てみずほ証券にてリスク統括部にて金融派生商品の定量分析業務に従事。2012年にヴィクセスを設立。以降IT, ファイナンス領域で顧客を支援。

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