サービスの分かりやすさが事業に及ぼす無視できない影響に関する考察
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皆さんこんにちは。DX顧問サービスを運営しております林です。
今回は、タイトルの通り、サービスの分かりやすさがどう事業に影響するのかについて、話してみたいと思います。サービスを作る部署にいらっしゃる方はこの記事を見て楽しんで頂いて、また、ユーザー目線では、普段業務でお使いのサービスを思い浮かべて頂いて、裏側ではこんな事が起こってるんだーへーって思って頂ければと思います。
新規事業を作って失敗してを繰り返していると、ああ、こういうのはやったらだめなんだな、というような、必ず失敗する要素が少しずつ見えてくるようになります。そして、事業を推進する上での一番最初の「何を売るか」の部分でも見えたことがあって共有しようと思い記事を書くに至りました。それは何かというと
「顧客にわかりにくいサービス」を売ってはいけない
ということです。顧客は、サービスの利用検討にあたってわざわざ一生懸命理解しようとしてくれはしません。わかりやすいものでないと、すぐに検討候補から外されてしまいます。
実はこれ、サービスにとどまらず、差別化に対しても同じことが言えます。つまり「顧客にわかりにくいものを差別化」にしてはいけない、も当てはまります。
特にありがちなのが、「うちは他の会社には無い技術があります!」という技術を売りにする事業会社。凄い技術であればあるほど、思い入れも大きくなるので顧客に対してアピールしたくなるかもしれません。でも残念ながら顧客に、その差別化が技術的に優れていることを理解できる人はあんまりいません。
サービスや差別化をわかりにくくしてはいけない本質的な理由は下のとおりです。
1.リード獲得単価が高くなる
顧客に対してわかりにくいということは、それだけ顧客に対して説明が必要ということです。説明が必要と言っても、多くは広告、検索エンジン経由でLPやサイトに訪問するわけで、これらで表現できる文字数はたかが知れています。わかりにくいサービスや差別化だと、ここで理解してもらえません。多くの人は理解できない場合にわざわざ考えて理解しようとまでしないので、なかなかLPに訪問してくれなくなります。
そしてLPのコンテンツを見ても、やっぱり理解してもらえないので、お問い合わせに至るコンバージョンレートも低くなります。もちろん内容を工夫してわかりやすくすることは有効だとは思いますが、それでも元のサービス自体がわかりにくければ、限界があります。
オンラインでのお問い合わせへのコンバージョンレートが低いということは、それだけ問い合わせを頂くのに時間がかかるということなので、マーケティングに係る人件費の負担が大きくなる、ということになります。よってリード獲得単価が高くなる、という訳です(リード獲得単価についてはこちら)。
また最近はコロナ禍のため減ったとは思いますが、サービスがわかりにくいと、イベント、セミナーなども積極的に活動しなくてはいけなくなります。
どんなサービスかがわかりにくいので、オンラインだけでは満足行くレベルまで顧客を獲得できないからです。追加での説明のために、これらの活動が必要になってきてしまうということですね。こちらは営業活動ですのでリード獲得単価は跳ね上がります。やらなくて済むのであれば、やらないほうが良い活動だと思います。
2. 顧客獲得単価が高くなる
リードがあった時点である程度イメージを持ってもらっています。顧客はたいてい複数社のサービスを非核・検討していることがほとんどなので、ここのフェーズで差別化のポイントがわかりにくいと、
①商談の際に詳細な説明が必要になる
②自社にどう活用したら良いのかの具体的イメージを持ってもらえず、個別に提案資料の作成が必要になる
と位う対応が必要になってきます。ということはつまり、リード獲得単価だけではなくて、顧客獲得単価も高くなってしまう、ということです。
顧客ごとの個別提案資料なんて、作らなくて良いのであれば作らない方が良いに決まっています。もし顧客にとってわかりやすいサービスであれば、顧客が自社の業務にどの様に活かせるかがかんたんにイメージできるので、提案資料は作る必要はなくなるはずです。
3.価格を上げるか、長い契約期間が必要になる
顧客獲得単価と顧客生涯価値の間には、だいたい以下のような関係をイメージをして頂ければよいかと思います。
顧客生涯価値 / 顧客獲得単価 >=4
です(詳細な説明はこちら)。
前の項で、サービスや差別化がわかりにくい場合には、顧客獲得単価が高くなる、と書きました。ということは上の式に照らし合わせてみると、顧客生涯価値も高くしなければいけない、ということになります。そうでなければ、コストと売上や利益のバランスに整合性が取れていない、事業としては儲からないものになってしまう、ということです。
顧客生涯価値を高くしないといけない、というのはどういうことかというと、解約までの期間、つまりサービスの利用期間を長くするか、或いはサービスの単価を高くしないといけない、ということですね。
1点目のサービスの利用期間を長くすることですが、実需があり、そして競合もどんどんと出てくる中で長く利用してもらうためには、十重二十重と工夫が必要です。
毎年開発コストに予算を大きく割り当てて、自社機能の充実を図る必要があります。また、サービス自体に、スイッチングコストが高くなるような工夫をするなどが必要になってきます。これはもちろんわかりやすいサービス含めて全てのサービスで取り組むべき課題ではありますが、これらとの重要な違いは「長く使ってもらわないと、赤字になり得る」ということです。恐ろしい。
一方単価を上げる場合にはどういう影響があるか考えてみましょう。当たり前の話ですが、単価を上げれば、導入のハードルは上がります。そして、費用対効果として、業務負荷の削減や売上アップなどのより目に見える大きな効果が求められるということです。つまりわかりにくいサービスならば、より顧客先に対して大きな便益が必要になる、ということです。
逆にいうとわかりにくいのに顧客への導入効果が高くないサービスは、サービスの設計自体ですでに間違っている、ということになりますね。
また、単価を上げるということは、営業の組織形態とも関係してきます。肌感覚ですが、月額5万円以下のサービスは、客先訪問するべきではありません(現状コロナ禍なので、ほとんどすることはないと思いますが)。インサイドセールスのみとしておくべきです。単価を上げるにしても月額5万円に満たないのに、外訪しないといけないのであればバランスが取れていませんし、また外訪営業の組織づくりをするのであれば、単価を5万円周辺ではなくて、もっともっと高くしないといけません。
最後に
商品やサービスのわかりやすさはこんなにも色々なものに影響を及ぼすというお話でした。
新規事業の立ち上げ期であれば、わかりにくいサービスの場合には、上のような高付加価値・高価格サービスに出来るかどうかを熟慮して、出来なければ辞めておいたほうが良いでしょう。
一方既にサービスを展開されて売上がたっているのであれば、一度これらを定量的に分析してみることをオススメ致します。
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写真は全然関係ないですが、北海道行きの飛行機から撮った写真です。美しい。